依存型と理念型のコミュニティ?コミュニティのリアルに迫る

依存型と理念型のコミュニティ?コミュニティのリアルに迫る

こんにちは。長田(@SsfRn)です。

今回は、先日公開しました、「コミュニティマーケティングにおいて必要なのはファーストピン?〜 #CMC_Meetup で学んだこと〜」の後編になります。

CMC Meetupの後半には、実際にコミュニティマネージャーとして実践している方の、リアルな声を中心に届けてもらいました。今回はその中でも、2人の方のお話をご紹介します。

さあ、どんな事例を聞かせてくれるのでしょうか?

 

 

コミュニティが自走するまでに工夫したこと-TFUG編-

ー小島さんの次に登壇したのは、TFUG(TensorFlow User Group)を立ち上げた、下田さん。TFUGとは、TensorFlowのユーザーが集まったコミュニティで、現在3,000名を超える方々が集まっています。そのTFUGを何故立ち上げ、ここまで大きくできたのか?そのリアルに迫ります。

 

下田さん 私はコミュニティ運営経験は、このTFUG立ち上げまでは全くありませんでした。いわばど素人です。ここで言うコミュニティは商品や製品というよりは、オープンソースのデベロッパーコミュニティみたいな感じになります。実は諸般の事情で、私が引っ張って行くことができなくなってしまったため、途中でバトンを渡したんですが、現在もその勢いをキープできています。本日は、そのあたりの話もできればと思います。

 

ー3,000人規模のコミュニティを作り上げた下田さんは、まさかの未経験者。バトンを渡したにも関わらず勢いが変わらないのは、とても気になるポイントです。

 

下田さん 小島さんがお話ししたファーストピン理論ですが、実は意識はまったくしておらず、振り返ってみたときに”あ、確かにそんなことやっていたな”という感じでした。僕はどっちかというと、コミュニティを立ち上げをやっているので、コミュニティのイメージはこのデレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすか」なんです。

見ていない方は見てほしんですけども。最初踊っている人がいて、踊っている人の周りにフォロワーが来ます。そうすると、踊っているだけだとただアホな人がリーダーに変わります。2~3人集まれば、どんどん雪だるま式に集まってくるという動画です。コミュニティもこれと同じイメージだと思っていて、個人的にこれを意識してやっていました。

 

 

下田さん まず、TensorFlowの現状なんですけども、グループの参加メンバーが、3,376名ほどいらっしゃいます。この人たちは、何らかの形でTensorFlowに関わった人たちになります。1年半ほどでこの人数が集まりました。

下田さん オープンソースを取り巻くコミュニティでは、よくこの構造が見られます。オープンソースは、皆さん自由に開発していくことができるという仕組みなので、まず機能として貢献したいという開発者コミュニティがあります。ただ、いいものを作っても使われないと意味がないので、反対側にユーザーコミュニティと言って、それを利用して ”いいね!” ”悪いね” ということを言ってくれる人たちがいます。

うまくいってるオープンソースコミュニティは、基本的にこの仕組みができています。機能が積極的に作られて、それを使ってユーザーのフィードバックが返ってきて、開発者コミュニティがそれを受け取って作っていくと。このサイクルが回っていると、利用者が使いたい機能が高速に作られていくんです。

 

ー2つのコミュニティを組み合わせて、うまくサイクル=仕組みを作っているとのこと。フィードバックは、コミュニティ運営において、とても重要な要素です。それが自動で回るのは、とても理想的な状況ですね。続いて、下田さんはコミュニティが立ち上がった経緯について、お話してくれました。

下田さん 2016年9月ですね、TensorFlowがオープンソースとして出て1年ぐらいに、私がTensorFlowを使ってアウトプットをちょこちょこしているところ、Googleから”ユーザーグループ立ち上げることに興味ありますか?”と声をかけていただきました。私自身、オープンソースに貢献したかったので、チャレンジを決意。

実は私以外にも声をかけられていて、2人運営でスタートしたんです。もう1名も私と同様にコミュニティ経験はなくて、手探りで始まった感じですね。小島さんが、複数名で始めよという話があって、それにのっとてるなぁと今感じています。

 

ーアウトプットをしていたことによって、Googleから下田さん自身がファーストピンだと認識されて、声がかかったということですね。もし、それなりに興味持って取り組めそうなコンテンツがあれば、積極的な情報発信をすることで自らがファーストピンになれるかもしれません。このファーストピンになるという経験、コミュニティマネージャーは一度経験した方がいいと個人的には思っています。

 

下田さん 一回大きなイベントをやるとわかってくることなんですけども、コミュニティ設計とかちゃんと考えていかないと収集がつかないんですね。アカデミックな人も興味あるし、エンジニアも興味あるし、ビジネスの人も興味あるし、AIで一発当てたい人も来るし、純粋に技術に興味ある人も来るし、キャッチーな言葉に惹かれてくる人もいるし、みんなTensorFlowというキーワードに色んな思いを込めて人が集まってきます。

コミュニティって、指針が決まっていないと色んな人が集まってくるというのを、強く感じました。色々なコミュニティにいて気付いたことがあります。例えば、コミュニティを村コミュニティ化させないとか。内輪感がすごい強いコミュニティって、新しく入った人は全く面白くない。これは非常に嫌だなと感じましたので、なるべく新しい人が入りやすい雰囲気作りに努めつつ、コアメンバーを残すように工夫しました。

雰囲気をどうつくるか?ここは、新しく来る人が、コミュニティではどんなことをしているのかをわかるように、資料を公開したりとか、ライブストリーミングでオープンにしたりしました。あとは、人気があるなし関係なく、必ず抽選制にして公平になる仕組みを作りました。

コミュニティの雰囲気は作りたかったので、スピーカーは運営側で選んで、こういう話をしてほしいと伝えていましたね。これ公募制にしちゃうと、コントロールができなくなるので。あとは、早い段階で、変わった切り口でイベントを試したりしたのは、個人的にやってよかったなと思うことですね。

 

ーリピーターと新規ユーザーのバランスを保つために、様々な工夫をして、コミュニティ設計をしているんですね。コミュニティを運営していると、いつか直結する内輪感という壁。これをどう扱うで、その後のコミュニティが左右されそうです。

(引用:TensorFlow User Group Aizu

下田さん これからコミュニティが拡大していかないといけないね。と話していた時、ロゴに着手しました。コミュニティの成功の秘訣を自分なりに分析した結果、ロゴが大切だと考えたんです。不思議なものでして、ロゴを作るとコミュニティがさらに広がっていきます。ロゴが一人歩きして拡大していくので、ロゴはコミュニティにおいて重要だと思います。

 

ーここでロゴの重要性を語る下田さん。ロゴが一人歩きして拡大するとのことで、とても興味深い内容でした。さらに、ロゴがあることで、メンバーの帰属意識が高まり、コミュニティにおいては様々なプラスな効果がありそうです。ちなみに下田さんは、このロゴ作りは自腹で作成したとのことでした、、リアルです、、

下田さん 並走してアドバイスみたいなノリでやってると、どんどん自分の色が抜けきれずに(周りが)なかなかやりにくそうだったので、私がやったことは可能な限り参加しないようにしました。ただ、ウォッチだけはしていて、危険そうな部分だけケアして、自分がいない場で決めたことも尊重しました。それが2~3ヶ月すると、勝手に回る状態になってきたんです。

さらに面白いのは、自分がオーガナイザーとしてやっていた時とは、また違う系統になっていくところですね。バトンタッチは本気でやればできるもので、次のファーストピンは誰でもなれるはずだなと。ただ、努力はしないといけなくて、運営側が変わっても、コミュニティの本質が変わらないだけの基盤は作った上で、渡していくといいと思います

 

ー自走するために気をつけるポイントを説明してくれました。この基盤作りは、コミュニティを立ち上げて初めのフェーズな気がします。基盤が固まることで、やっと次のフェーズに移れるのかなと思いました。

 

 

依存型と理念型のコミュニティ-朝渋編-

ー最後に、コミュニティマネージャーとして実践している方々のLTタイム(ライトニングトーク)。5名の方に登壇いただいたのいただいたのですが、特に会場全体が食いついて、私自身も記憶に残った朝渋の井上皓史さんのLT内容を、ご紹介したいと思います。

 

井上さん えー皆さん、おはようございます!朝渋の井上と申します!

会場 

井上さん 僕が何をやっているかと言うとですね、”人生を楽しむために朝時間を充実させる” をコンセプトに、渋谷で開催している「朝渋」という早起きコミュニティを運営しています。僕は小さい頃から22時に寝て5時に起きる生活をずっとしているんです。

 

ー実体験から得た朝時間の活用のメリットを、コミュニティを通じて実践している感じでしょうか。そういう方が中心に運営できると、コミュニティとして軸が明確になり、とてもいい影響が出ますよね。

 

井上さん 朝渋はですね、著者イベントとNEXTというコミュニティで活動しています。早起きを、この著者イベントをきっかけに体感してほしいなと思って取り組んでいます。1年前から開催して、今のところ(2018年3月時点)25回開催しております。小島さんとは、2月著者イベントで出会い、本日ここに立たせていただいております。

 

ー一般的に需要があるイベントを入り口に実体験してもらい、そこで興味を持った方にコミュニティへ入ってもらう方法を取っているとのこと。外部向けイベント→コミュニティ、この循環は理にかなっていますし、とても見習うべきポイントが多い。

 

井上さん コミュニティは、”早起きライザップ”と表現すれば一番わかりやすいかと思うのですけども、早寝早起きにコミットするということで、現在(2018年3月時点)60名ほどのメンバーで活動しております。7:30~9:00であれば何をしてもOKで、様々な部活動が誕生して動いています。例えば、カーリングしたり、ランニングしたりと幅広いですね。

井上さん 今って色々なコミュニティがありますが、それを2つの種類にわけられると思っています。それは依存型と理念型で、僕らは理念型を目指しています。どういうことかと言いますと、例えばインフルエンサーと呼ばれるような方々がコミュニティ運営をされているかと思うんですけども、その方々ってスター選手じゃないですか?僕らはここを目指すのは無理だなと思っていて、依存型のコミュニティは主従関係が生まれてしまうと考えています。

憧れとか、応援するとか。そういった関係で成り立っているコミュニティってたくさんあります。僕らはアイドルでもインフルエンサーでも何でもないので、理念型と言っています。メンバーと対等の場で、理念をしっかり置いて、そこへ向かってメンバーと一緒に走っています

 

ーここが一番注目を集めた箇所です。依存型と理念型。ここが言語化されていることって意外となくて、でもなんとなく皆さん感じていたこと。私自身とても腹落ちしましたし、同じ感想を抱いた人は少なくなかったようです。

井上さん ファーストピンを見つけて、それを倒すまでに3つの壁があると思っています。(上記の図の)真ん中がコミュニティなんですけども、何でもない人をコミュニティに入ってもらおうという時に、すぐに入ってもらうわけではなく、まず気づきを持ってもらい、コミュニティに入り、その人を主役化する。この3つのステップが必要だと思っています。

僕がいきなり”早起き頑張ろうよ!”と言っても、なかなか向いてくれない人が多いなと思っていて、まずはこの著者イベントで”早起きっていいよね!”と分かってもらうことを大事にしています。月2回定期的に実施することで、イベントのコアファンが付いてくると。そこで、”コミュニティやるよ!”と伝えることで、早起きがいいと分かってくれた人が”え!そんなコミュニティあるんだ!見てみたい!”となるんですね。

井上さん 夏になるんですけども、まずは10人のファーストピンを見つけることに成功しました。ここからどうやって右に持っていけるか?早起きはできたんだけども、7:00~9:00の間に何をすればいいのかがわからない、、という声が多くありました。その時に僕がしたことは、10人の人としっかり向き合いました。その人が何をしたいのか?を一緒に考えたんですね。

例えば、鎌倉に住んでいる人はその魅力をもっと広めたいとか、ランニングが好きだけどランニング仲間がいないとか、カーリングをやっていたいとか。そういったところを、しっかり旗を上げて主役化していき、朝時間をデザインしてあげることを大事にしています。

そうなると、この活動いいね!と自分で発言もできるので、朝渋をもっと広げたいというファーストピンが派生して、理念に共感する人が増えていきました。このように、運営とメンバーが一緒になって理念を追いかけています

 

ー5分という短い時間でしたが、多くの学びがあった朝渋 井上さんのLT。これからコミュニティを作っていきたい!という人には、かなり有益な情報だったのではないでしょうか?私も朝渋に入りたくなるぐらい、惹き込まれた5分間でした。

 

 

最後に

最後には、参加者と登壇者が交流することができる懇親会が開催されました。さすがコミュニマネージャーというような積極的に話される方が多く、とても熱気に溢れた時間でした。

以上が前後編でお送りさせていただきました、CMC Meetupのイベントレポート。実体験の話は、とても理解がしやすく、共通の課題を感じるところも多々あったなと感じております。

ポジティブな話もあれば、悩みもあったりと、世の中的にコミュニティが神格化されつつある今だからこそ、聞いておきたい内容だったなと思います。コミュニティは完璧ではありませんので。

このイベントをきっかけにアクションを起こしている参加者も現れ、また一つコミュニティ関係者のコミュニティが前進した日なのかもしれません。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

それでは!